![]() 心筋層へのウイルスベクターの取り込みを増大させるための組成物
专利摘要:
本発明は、心臓疾患を治療するための改善された療法、具体的には冠循環への直接注入による心臓組織への治療物質の改善された送達に関する。本発明の好ましい実施形態は、大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより心臓血管疾患を治療または予防する方法であって、心臓疾患の治療または予防の必要がある哺乳動物を同定する段階、in vivoでの冠循環の血管中への治療用ポリヌクレオチドの注入前、および/またはその最中に冠循環にNOを供給する段階を含み、治療用ポリヌクレオチドを血管に少なくとも約3分間にわたって注入し、冠循環が哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されておらず、治療用ポリヌクレオチドを動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、心臓疾患が治療または予防される方法である。 公开号:JP2011512408A 申请号:JP2010547611 申请日:2008-10-29 公开日:2011-04-21 发明作者:クリスティーナ・マリア・ゼボ 申请人:セラドン・コーポレーション; IPC主号:A61K48-00
专利说明:
[0001] 関連出願の相互参照 本出願は、その優先権が米国特許法119条(e)(1)の下で主張され、その出願が参照によりその全内容が本明細書に組み込まれている、2008年2月19日に出願された米国仮特許出願第61/029,881号の非仮出願である。] [0002] 本発明は、心臓疾患を治療するための遺伝子治療、具体的には心臓組織へのポリヌクレオチドの増大した送達に関する。] 背景技術 [0003] 心臓疾患は、特に西欧諸国では、非常に罹患率が高い主要な公衆衛生上の問題である。心臓疾患は、数例を挙げると、冠動脈疾患、虚血性心疾患、狭心症、心不全、心臓弁膜症、心不整脈および心臓の炎症(心筋炎)を含む。冠動脈疾患および心不全は、おそらく最も重大で蔓延しており、共に西欧諸国の主な死因である。患者の生活の質およびヘルスケアのコストに対する、急性心筋梗塞および鬱血性心不全およびそれらの後遺症の影響によって、新たな療法を検索することになる。] [0004] 心不全(HF)は、心臓が血液を効率良くポンプで送り出す能力を失う重大な疾患である。National Heart、Lung and Blood Instituteからのデータは、米国内だけで約5百万人の人々が心不全を有しており、さらに550,000の新たな症例が毎年診断されることを示唆する。HFは年間約300,000の死の原因であり、あるいはこれらを引き起こす。この疾患は、65才以上の人々、女性およびアフリカ系アメリカ人において最も一般的である。心不全の最も一般的な症状は、息切れ、疲労感、および足首、足、脚、および時には腹部の腫れである。鬱血性心不全のための治療法は存在せず、有効な療法に関する明らかな必要性が当技術分野で存在する。] [0005] 一層注目され始めている、HFなどの心臓疾患を治療する1つの方法は、ポリヌクレオチドを心臓組織、典型的にはウイルスベクターで送達する遺伝子治療である。心筋への直接注射(Liu et al.、FASEB J. 2006; 20(2): 207〜16; Liu et al. Toxicol. Appl. Pharmacol. 2006 Jan 25(電子出版物); Zhu et al.、Circulation. 2005; 112(17): 2650〜9)、冠動脈内送達(Nykanen et al.、Circ. Res. 2006; 98(11): 1373〜80; Kaspar et al.、J. Gene Med. 2005; 7(3): 316〜24)、冠静脈を封鎖しながらのカテーテルベースの順行性の冠動脈内送達(Hayase et al.、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol. 2005; 288(6): H2995〜3000)、大動脈および肺動脈遮断、次にアデノ随伴ウイルスベクターの大動脈近位部注射(Kaspar et al.、J. Gene Med. 2005; 7(3): 316〜24)を含めた、心臓にウイルスベクターを送達する多数の手段が試されてきている。LeidenおよびSvenssonは、冠動脈または洞へのrAAVベクターのin vivo注入を一般的に言及しているが、心臓が鼓動を停止した4℃におけるex vivoでレポーター遺伝子を用いたマウス心臓の灌流(WO00/38518)、ヒトなどの大型哺乳動物を治療するのに実用的でない方法のみを詳しく記載している。] [0006] したがって、これらの方法は、例えば外科的介入の必要があり、または心筋への酸素含有血液の流入が遮断されるため危険性が高すぎるので、方法を実施するのに必要とされるウイルスベクターの量のため、トランスフェクトされる組織の割合が低いため、形質導入が注射/投与部位のみに限られるという事実のため、あるいは方法が大型動物またはヒトにおける疾患の治療に関して非実用的または未確認であるため、臨床設定で使用するにはいずれも不十分である。ウイルスベクターを使用してトランス遺伝子を心臓組織に送達して、特にヒトにおける疾患を治療する、簡潔、侵襲性が最少であるが、有効な手段に関する必要性が依然として存在する。] [0007] 例えば、以前に米国特許出願第11/778,900号(参照によりその全容が本明細書に組み込まれている)に、冠状血管への治療用ポリヌクレオチドの緩慢な注入を使用する心臓細胞のトランスフェクション法が記載されている。心臓細胞へのポリヌクレオチドのトランスフェクションの有効性を高めることにより、治療の有効性も高まる可能性がある。] [0008] 事前治療用カクテルの一部としてのニトログリセリンの使用は、動物の心筋遺伝子導入療法において使用されている(ウイルスベクターを使用する心筋遺伝子導入を伴うブタの実験を記載する、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれているSasano T., et al.、「Targeted High-Efficiency、Homogenous Myocardial Gene Transfer」J. Mol. Cell. Cardiol.、2007 May; 42(5): 954〜961を参照)。健常なブタにおける遺伝子導入の有効性を高めるための努力の一環として、彼らは血管内皮増殖因子(VEGF)、ニトログリセリン、アデノシンおよびカルシウムを含む事前治療用カクテルの使用、次にウイルスベクターおよび前述の作用物質の組合せの投与を報告している。しかしながら、彼らの治療プロトコルは極度の低血圧および心臓の副作用をもたらす可能性があるので、このようなプロトコルは臨床上実用的ではない。例えばSasanoは、「事前治療およびウイルス溶液の注入は、30mmHgの急激な心臓収縮による血圧低下を引き起こし、灌流の1分以内に安定化した。平均心拍数も50〜60/分低下し、次いで同じ時間経過で安定化した。」と報告する。この著者らは、「最初の10匹のブタのうちの5匹(50%)および残りの71匹のブタのうちの4匹(5.6%)において、冠動脈内注入の際に心室細動(VF)が起こった。」とさらに報告した(Sasano et al、958頁)。進行した心疾患を有する大部分のヒト対象の虚弱状態を考慮すると、これらの副作用は、若い健常な動物よりもさらに許容性が低い可能性が高い。] [0009] 米国仮特許出願第61/029,881号 WO00/38518 米国特許出願第11/778,900号 米国特許第5,139,941号 米国特許第4,797,368号] 先行技術 [0010] Liu et al.、FASEB J. 2006; 20(2): 207〜16 Liu et al. Toxicol. Appl. Pharmacol. 2006 Jan 25(電子出版物) Zhu et al.、Circulation. 2005; 112(17): 2650〜9 Nykanen et al.、Circ. Res. 2006; 98(11): 1373〜80 Kaspar et al.、J. Gene Med. 2005; 7(3): 316〜24 Hayase et al.、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol. 2005; 288(6): H2995〜3000 Sasano T., et al.、「Targeted High-Efficiency、Homogenous Myocardial Gene Transfer」J. Mol. Cell. Cardiol.、2007 May; 42(5): 954〜961 Li et al.、Molecular Therapy vol. 16 no. 7 July 2008、pg. 1252〜1260 Jeremy M. Berg, et al. (2006)、Biochemistry、6th Edition. W. H. Freeman and Company MegsonIL、Webb DJ、「Nitric oxide donor drugs: current status and future trends」Expert. Opin. Investig. Drugs、2002 May; 11(5): 587〜601 Vlodaver Z. et al. Coronary Heart Disease: Clinical、Angiographic、and Pathologic Pofiles. Spinger-Verlag、New York. 1976 McAlpine W. Heart and Coronary Ateries. Spinger Verlag、1975 Flotte et el.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1993; 90: 10613〜17 Walsh et al.、J Clin. Invest.、1994; 94: 1440〜48 Crameri, A et al. (1998).「DNA shuffling of a family of genes from diverse species accelerates directed evolution.」Nature 391: 288〜291 Stemmer, WP(1994).「Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling.」Nature 370: 389〜391 Moore, G. L.、Maranas, C. D.、2000.「Modeling DNA mutation and recombination for directed evolution experiments.」J. Theor. Biol. 205、483〜503 Maheshri, N et al. (2006).「Directed evolution of adenoassociated virus yields enhanced gene delivery vectors.」Nat Biotechnol 24: 198〜204 Hajjar et al.、Journal of Cardiac Failure、2008 14(5); 355〜67] 発明が解決しようとする課題 [0011] したがって、生命を脅かす低血圧または心臓不整脈をもたらさない、臨床設定で使用することができる血管拡張およびアデノ随伴ウイルス(AAV)などのウイルスベクターを使用する、心臓細胞のトランスフェクションの有効性を増大するための治療方法を開発する必要性が依然として存在する。] 課題を解決するための手段 [0012] 本発明は、心疾患を治療するための使用および療法、具体的には、血流を妨げることを必要とせずに、冠動脈内、静脈内、または皮下への直接的な注射もしくは注入、または経口投与により、血管拡張剤、好ましくは一酸化窒素(NO)増大物質を使用することによる、心臓組織への治療剤の送達の改善または向上に関する。] [0013] 本発明の好ましい実施形態は、大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより心臓血管疾患を治療または予防する方法であって、心臓血管疾患の治療または予防の必要がある哺乳動物を同定する段階、冠循環の血管を拡張するのに十分な血管拡張性物質を前記哺乳動物に投与する段階、およびin vivoで冠循環の血管に治療用ポリヌクレオチドを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドを前記血管に少なくとも約3分間にわたって注入し、冠循環が哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されておらず、前記治療用ポリヌクレオチドを前記哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、前記心臓血管疾患が治療または予防される方法である。いくつかの実施形態では、前記血管拡張性物質はNO増大物質である。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質はニトログリセリンである。] [0014] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を冠循環の血管に投与する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与する。] [0015] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与し、前記NO増大物質を、少なくとも約10分間にわたる前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管に注入する。] [0016] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質は約50μg〜約150μgのニトログリセリンである。] [0017] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質の投与は、1分未満の間にわたる経皮カテーテルを介した左または右冠動脈の少なくとも1つへの1.5mLの100μg/mLニトログリセリン溶液の順行性心外膜冠動脈注射を含み、前記NO増大物質の前記投与は前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前3分未満であり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤(vascular permeation enhancer)を前記哺乳動物に投与しない。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管にニトログリセリンを注入する段階をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物はヒトであり、前記心臓血管疾患は心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドはAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数は約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドはSERCA2aコード配列を含み、前記血管は左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は少なくとも約10分間続く。いくつかの実施形態では、前記治療は、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する。] [0018] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を全身に投与する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を静脈内注射、静脈内注入、経口投与、経皮投与、および皮下投与からなる群から選択される形式で全身に投与する。] [0019] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する。] [0020] いくつかの実施形態では、約0.5mg〜約2.5mgのニトログリセリンを、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前の少なくとも30分間にわたり静脈内注入によって投与し、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は前記ニトログリセリンの静脈内注入の終了の3分以内に始まり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に追加量のニトログリセリンを注入する段階をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物はヒトであり、前記心臓血管疾患は心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドはAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数は約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドはSERCA2aコード配列を含み、前記血管は左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は少なくとも約10分間続く。いくつかの実施形態では、前記治療は、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する。] [0021] 本発明の一実施形態は、大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより心臓血管疾患を治療または予防する方法において使用するための治療用ポリヌクレオチドであって、前記方法が前記治療用ポリヌクレオチドの投与より前、および/または投与と同時に、前記哺乳動物に血管拡張性物質を投与することにより冠循環の血管を拡張する段階を含む、治療用ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、前記方法は、in vivoで冠循環の血管に治療用ポリヌクレオチドを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドは前記血管に少なくとも約3分間にわたって注入され、冠循環は哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されておらず、前記治療用ポリヌクレオチドを前記哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、前記心臓血管疾患が治療または予防される。] [0022] いくつかの実施形態では、前記血管拡張性物質はNO増大物質である。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する。] [0023] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を冠循環の血管に投与する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与し、前記NO増大物質を少なくとも約10分間にわたる前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管に注入する。] [0024] いくつかの実施形態では、NO増大物質は約50μg〜約150μgのニトログリセリンである。] [0025] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質の前記投与は1分未満の間にわたる経皮カテーテルを介した左または右冠動脈の少なくとも1つへの1.5mLの100μg/mLニトログリセリン溶液の順行性心外膜冠動脈注射を含み、前記NO増大物質の前記投与は前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前3分未満であり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管にニトログリセリンを注入する段階をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物はヒトであり、前記心臓血管疾患は心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドはAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数は約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドはSERCA2aコード配列を含み、前記血管は左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は少なくとも約10分間続く。いくつかの実施形態では、前記治療方法または予防方法は、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する。] [0026] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を静脈内注射、静脈内注入、経口投与、経皮投与、および皮下投与からなる群から選択される形式で全身に投与する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質の前記投与は前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前の少なくとも30分間にわたる静脈内注入によって約0.5mg〜約2.5mgのニトログリセリンを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は前記ニトログリセリンの静脈内注入の終了の3分以内に始まり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に追加量のニトログリセリンを注入する段階をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物はヒトであり、前記心臓血管疾患は心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドはAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数は約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドはSERCA2aコード配列を含み、前記血管は左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は少なくとも約10分間続く。いくつかの実施形態では、前記治療方法または予防方法は、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する。] [0027] 本発明の別の実施形態は、大型哺乳動物における心臓血管疾患の治療または予防用の医薬品を製造するための治療用ポリヌクレオチドの使用であって、治療用ポリヌクレオチドを前記大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、前記心臓血管疾患の治療または予防をもたらし、前記医薬品が前記医薬品の投与より前、および/または投与と同時の、前記哺乳動物の冠循環の血管を拡張する血管拡張性物質との併用投与用である使用である。いくつかの実施形態では、前記医薬品の投与はin vivoで冠循環の血管に治療用ポリヌクレオチドを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドは前記血管に少なくとも約3分間にわたって注入され、冠循環は哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されていない。いくつかの実施形態では、前記血管拡張性物質は一酸化窒素(NO)増大物質である。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する。] [0028] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を冠循環の血管に投与する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与し、前記NO増大物質を少なくとも約10分間にわたる前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管に注入する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質は約50μg〜約150μgのニトログリセリンである。] [0029] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質の前記投与は1分未満の間の経皮カテーテルを介した左または右冠動脈の少なくとも1つへの1.5mLの100μg/mLニトログリセリン溶液の順行性心外膜冠動脈注射を含み、前記NO増大物質の前記投与は前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前3分未満であり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管にニトログリセリンを注入する段階をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物はヒトであり、前記心臓血管疾患は心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドはAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数は約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドはSERCA2aコード配列を含み、前記血管は左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は少なくとも約10分間続く。いくつかの実施形態では、前記治療方法または予防方法は、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する。] [0030] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質を静脈内注射、静脈内注入、経口投与、経皮投与、および皮下投与からなる群から選択される形式で全身に投与する。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質の投与は前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前の少なくとも30分間にわたる静脈内注入によって約0.5mg〜約2.5mgのニトログリセリンを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は前記ニトログリセリンの静脈内注入の終了の3分以内に始まり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない。いくつかの実施形態は、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に追加量のニトログリセリンを注入する段階をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物はヒトであり、前記心臓血管疾患は心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドはAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数は約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドはSERCA2aコード配列を含み、前記血管は左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入は少なくとも約10分間続く。いくつかの実施形態では、前記治療方法または予防方法は、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する。] [0031] いくつかの実施形態では、前記NO増大物質はニトログリセリンを含む。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質はニトログリセリンから本質的になる。いくつかの実施形態では、前記NO増大物質はニトログリセリンからなる。いくつかの実施形態では、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない。] [0032] いくつかの実施形態では、冠循環の流出は不自然に制限されない。] [0033] いくつかの実施形態では、側脳室前部、側脳室下部、中隔および右心室の心臓細胞のトランスフェクションは、定量PCR(RNAまたはDNA)を使用して検出可能である。] [0034] いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、心臓細胞の細胞活動を調節することができるタンパク質を発現することができる。いくつかの実施形態では、前記細胞活動は心筋細胞のカルシウム循環経路である。いくつかの実施形態では、前記タンパク質は筋小胞体/小胞体ATPase(SERCA)である。いくつかの実施形態では、SERCAはSERCA2aである。] [0035] いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチドは、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ウシパピローマウイルス、レンチウイルスベクター、ワクシニアウイルス、およびポリオーマウイルスからなる群から選択されるウイルスベクター中に存在する。いくつかの実施形態では、前記ウイルスベクターはAAVウイルスである。いくつかの実施形態では、前記ウイルスベクターは、カプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3の全てが同じ血清型のAAVとは限らないような異種カプシドタンパク質を含むAAVウイルスである。いくつかの実施形態では、前記異種カプシドタンパク質はAAV1およびAAV2由来のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、前記ウイルスベクターはAAV2/1ベクターである。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチドはCMV系プロモーターと作動可能に連結しており、前記ウイルスベクターにパッケージされている。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチドはSERCA2aコード配列を含む。] [0036] いくつかの実施形態では、前記心臓細胞の前記トランスフェクションは側脳室の短縮率を増大させる。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物はヒトであり、前記疾患は鬱血性心不全である。いくつかの実施形態では、前記心臓細胞の前記トランスフェクションは、ポリヌクレオチド注入前の側脳室の短縮率と比較して、前記注入後約4カ月で測定すると少なくとも25%側脳室の短縮率を増大させる。いくつかの実施形態では、前記心臓細胞の前記トランスフェクションは、SERCA2aタンパク質の発現、短縮率、駆出率、心拍出量、心室弛緩の時定数、および逆流量からなる群から選択される心臓機能の測定値の改善をもたらす。] [0037] いくつかの実施形態では、血管中への注入は約6.0mL/分以下の割合であり、いくつかの実施形態では、それは約2.5mL/分以下の割合であり、いくつかの実施形態では、それは約2.0mL/分以下の割合であり、いくつかの実施形態では、それは約1.2mL/分以下の割合であり、いくつかの実施形態では、それは約1.0mL/分以下の割合であり、いくつかの実施形態では、それは約0.6mL/分以下の割合である。] [0038] 好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、単純ヘルペスウイルス、ウシパピローマウイルス、レンチウイルスベクター、ワクシニアウイルス、およびポリオーマウイルスからなる群から選択されるウイルスベクター中に存在する。より好ましい実施形態では、ウイルスベクターはAAVウイルスまたはAAV分子変異体であり(参照によりその全内容が本明細書に組み込まれている、Li et al.、Molecular Therapy vol. 16 no. 7 July 2008、pg. 1252〜1260を参照)、より好ましい実施形態では、ウイルスベクターはAAV2/1ベクターである。AAV2/1ベクターは、AAV血清型1カプシドおよびAAV血清型2由来の逆方向末端反復(ITR)からなる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドはCMV系プロモーターと作動可能に連結しており、ウイルスベクターにパッケージされている。好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドはヒトSERCA2acDNAを含む。好ましくは、ベクターはAAV血清型1カプシドからなり、AAV血清型2(AAV1/SERCA2a)由来の逆方向末端反復(ITR)と隣接するヒトSERCA2a cDNAを含有する。] [0039] 本発明の好ましい実施形態は、大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより心臓疾患を治療または予防する方法であって、冠動脈血管に1分未満続く冠動脈内ボーラス注射によって50〜150マイクログラムのニトログリセリンを注射する段階、in vivoで冠循環の血管にAAV1/SERCA2aの約1.4×1011〜約1×1013のDRPを注入する段階を含み、AAV1/SERCA2aが血管に少なくとも約3分間にわたって注入され、冠循環が哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されておらず、AAV1/SERCA2aを哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、心臓疾患が治療または予防される方法である。好ましい実施形態では、ニトログリセリンは投与する唯一の血管拡張剤または透過促進剤であり、他の血管拡張剤または透過促進剤は投与しない。] 図面の簡単な説明 [0040] 正常なGottingenコブタにおけるSERCA2aの発現に関して試験した心臓断面の図である。(A)左心室(LV)の基底層、(B)LVの中間層、(C)LVの先端層。 正常なGottingenコブタにおけるAAV1/SERCA2aの直接冠動脈内注入の第30日の、単回投与、心臓分布試験からの結果の図である。グラフは、群1および3からの1カ月のフォローアップでの心臓断面中のRT-PCRによるSERCA2amRNAの発現を実証する。 正常なGottingenコブタにおけるAAV1/SERCA2aの直接冠動脈内注入の第30日の、単回投与、組織分布試験からの結果の図である。グラフは、群1、2、3および4からの1カ月のフォローアップでの心臓断面中のSERCA2aタンパク質の発現を実証する。 正常なGottingenコブタにおけるAAV1/SERCA2aの投与に関する実験手順中の、群3および4からの平均大動脈圧の図である。] [0041] 本発明の技術は、心臓疾患を治療するための使用および療法、具体的には血流を妨げることを必要としない、心臓組織への治療剤および血管拡張剤の送達の向上に関する。本発明の好ましい実施形態は、大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより心臓疾患を治療または予防する方法であって、心疾患の治療または予防の必要がある哺乳動物を同定する段階、好ましくは冠循環中の一酸化窒素の量を増大することによって血管拡張を増大するための物質を注射または注入する段階、in vivoで冠循環の血管に治療用ポリヌクレオチドを注入する段階を含み、治療用ポリヌクレオチドを血管に少なくとも約3分間にわたって注入し、冠循環が哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されておらず、治療用ポリヌクレオチドを哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、心臓疾患が治療または予防される方法である。] [0042] 本明細書で使用する「ポリヌクレオチド」は、当技術分野におけるその通常および通例の意味を有し、DNAまたはRNA分子などの任意のポリマー核酸、および当業者に知られている化学誘導体を含む。ポリヌクレオチドは治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むだけでなく、当技術分野で知られている技法を使用して標的核酸配列(例えば、アンチセンス、干渉、または低分子干渉核酸)の発現を低下させるために使用することができる配列も含む。一例は、ホスホランバンの発現を低下させるかあるいは排除する配列である。ポリヌクレオチドを使用して、心臓血管系の細胞内の標的核酸配列の発現または標的タンパク質の生成を開始または増大させることも可能である。標的核酸およびタンパク質には、標的組織中で通常見られる核酸およびタンパク質(本来存在する突然変異を含む)、そのような本来存在する核酸またはタンパク質の誘導体、標的組織中で通常見られない本来存在する核酸またはタンパク質、あるいは合成核酸またはタンパク質があるが、これらだけには限られない。1つまたは複数のポリヌクレオチドを組み合わせて同時および/または連続的に投与して、1つまたは複数の標的核酸配列またはタンパク質を増大および/または低下させることが可能である。] [0043] 本明細書で使用する用語「注入」、「注入された」、および「注入する」は当技術分野におけるそれらの通常および通例の意味を有し、当技術分野で認められている用語「注射」または「ボーラス注射」(典型的には1分間未満)より実質的に長い、一定時間期間(典型的には1分間以上)の投与を指す。注入の流速は投与する体積に少なくとも部分的に依存するはずであるが、しかしながら「注入」の流速は、同体積の「注射」の流速より遅い。] [0044] 「有効量」は、当技術分野におけるその通常および通例の意味を有し、有益または所望の治療効果を実施または達成するのに十分な量を含む。例えば「有効量」は、以下のいずれか:側脳室の短縮率の増大、および/または苦痛緩和、改善、安定化、反転、疾患状態の進行または兆候または症状の緩慢化または遅延を達成する量である。有効量は1回または複数回の投与で投与することができる。] [0045] 本明細書で使用する「と共に」、「と組み合わせて」、「同時」または「同時に」は当技術分野におけるそれらの通常および通例の意味を有し、1つの治療モダリティおよび他の治療モダリティの実施を含む。例えば、同一個体への1つまたは複数の医薬組成物の投与以外に、対象へのポリヌクレオチドの注入を実施することができる。本明細書で使用するこれらの用語は、同時投与、またはほぼ同時の投与を含む。] [0046] 開示する方法および本明細書で開示する治療剤は、薬剤および経皮的または外科的介入などの、導入部分において前に挙げた治療を含めた心臓疾患のための既存の治療と組み合わせて、既存の治療単独と比較して高い治療効果をもたらすことができる。高い治療効果は、例えば、既存の治療レジメンに関する平均的もしくは典型的な時間期間と比較した疾患の兆候または症状の悪化の間の時間期間の延長、または標準的な治療単独に関する平均的もしくは典型的な時間と比較した追加的治療が必要とされるまでに必要とされる時間の延長によって実証され得る。] [0047] 本明細書で使用する疾患を「治療する」または疾患の「治療」は当技術分野におけるその通常および通例の意味を有し、疾患の進行または疾患の兆候または症状の停止または緩慢化を含めた、疾患の安定状態、治癒、不完全治癒を含む。用語「予防」は当技術分野におけるその通常および通例の意味を有し、疾患または疾患の兆候または症状の完全または不完全な予防、発症遅延を含む。用語「治療的」、「治療効果」または「臨床効果」は、治療と予防の両方を含む。本発明の技術を使用して治療されると考えられる心臓血管系と関係がある疾患の例には、心不全、虚血、不整脈、心筋梗塞、鬱血性心不全、移植片拒絶反応、異常な心収縮性、非虚血性心筋症、僧帽弁逆流、大動脈弁狭窄症または逆流、異常なCa2+代謝および先天性心疾患があるが、これらだけには限られない。例えば、有益または所望の臨床結果または治療効果には、生存率の上昇、心臓血管疾患の兆候または症状の大幅な軽減、疾患の程度のさらなる低下、疾患状態の安定(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延または緩慢化、疾患状態の改善または苦痛緩和、および(部分的または全体的であれ)寛解、検出可能または検出不能があるが、これらだけには限られない。治療効果の他の例には、増大した側脳室の短縮率、細胞および無傷動物レベルで増大した心筋収縮性、心臓リモデリングの反転、および異常に高い心臓拡張レベルの細胞質カルシウムの正規化があるが、これらだけには限られない。本発明の実施形態で治療した対象において改善することができる他の臨床的特徴には、非制限的に、生存、心臓代謝、心筋収縮性、心拍数、心室機能(例えば、左心室駆出分画率(LVEF)、左心室収縮末期容積(LVESV)、左心室拡張末期圧(LVEDP)、左心室収縮末期圧(LVSP))、Ca2+代謝(例えば、細胞内Ca2+濃度、ピークまたは休止状態[Ca2+]、SRのCa2+ATPase活性、ホスホランバンのリン酸化状態)、力発生、心臓の弛緩および圧力、力収縮頻度関係、心臓細胞の生存またはアポトーシスまたはイオンチャンネル活性(例えば、ナトリウムとカルシウムの交換、ナトリウムチャンネル活性、カルシウムチャンネル活性、ナトリウムカリウムATPaseポンプ活性)、ミオシン重鎖、トロポニンI、トロポニンC、トロポニンT、トロポミオシン、アクチン、ミオシン軽鎖キナーゼ 、ミオシン軽鎖1、ミオシン軽鎖2またはミオシン軽鎖3、IGF-1受容体、PI3キナーゼ、AKTキナーゼ、ナトリウム-カルシウム交換体、カルシウムチャンネル(LおよびT)、カルセクエストリン、カルレチクリン、1型タンパク質ホスファターゼの阻害剤-1、またはホスホランバンの脱リン酸化を促進する任意の作用物質、または筋小胞体カルシウムポンプの阻害剤(SERCA2a)の活性がある。改善することができる心臓疾患の他の測定値は、短縮率、心拍出量、駆出率、Tau、逆流量、短期間の入院、改善された生活の質、増大したトレッドミル時間、6分間歩行試験中の増大した距離、および増大した最大酸素消費量(VO2max)を含む。] [0048] 本明細書で使用する「外因性」核酸または遺伝子は、核酸導入に利用するベクター中に本来存在しない、例えばウイルスベクター中に本来見られない核酸または遺伝子であるが、この用語は、患者または宿主中に本来存在するタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸、例えばSERCAを除外することを目的とするものではない。] [0049] 本明細書で使用する「心臓細胞」は、心筋細胞、心臓血管系の細胞、または心臓弁中に存在する細胞などの、心臓の構造の維持または心臓の機能の提供と関係がある心臓の任意の細胞を含む。心臓細胞は、心筋細胞(正常な電気特性と異常な電気特性の両方を有する)、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、通道組織の細胞、心臓ペースメーカー細胞、およびニューロンを含む。] [0050] 本明細書で使用する「分離された」、「実質的に分離された」または「大部分が分離された」およびそれらの変形は、冠静脈、心臓、体静脈、または体循環の完全または絶対的な分離を必要としない用語であり、むしろ、それらは大部分、好ましくは主要部分またはさらに実質的に全ての特定循環が分離されることを意味するものとする。本明細書で使用する「部分的に分離された」は、分離される特定循環の任意の重要部分を指す。] [0051] 本明細書で使用する「不自然に制限される」は、血管を介した流体の流れを制限する任意の方法、例えばバルーンカテーテル、縫合などを含むが、自然に生じる制限、例えばプラークの蓄積(狭窄)は含まない。不自然な制限は、例えば冠循環の実質的または完全な分離を含む。] [0052] 本明細書で使用する「調節する」は、その通常の意味を有し、標的の発現または活性の増大と低下の両方を含む。] [0053] 本明細書で使用する用語「最少侵襲」は、心臓または心臓と密接に結び付いた血管への外科的切開処置を必要としない任意の手順を含むものとする。このような手順は、心臓にアクセスするための内視鏡的手段の使用、および大動脈および静脈、大腿動脈などを介したアクセスに頼るカテーテル系手段も含む。] [0054] 本明細書で使用する用語「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、全ての亜型、血清型および偽型、ならびに天然および組換え型または分子変異体を含む(Li et al参照)。様々なAAVの血清型および系統が当技術分野で知られており、ATCC、および専門的または商業的供給元などの供給元から一般に入手可能である。あるいは、様々なデータベースから公開済みおよび/または入手可能であるAAVの血清型および系統由来の配列を、知られている技法を使用して合成することができる。] [0055] 本明細書で使用する用語「血清型」は、明確な抗血清とのカプシドタンパク質の反応性に基づいて同定され他のAAVと区別されるAAVを指す。AAV1〜AAV12を含めた少なくとも12の知られているヒトAAVの血清型が存在するが、しかしながら他の血清型が発見され続けており、新たに発見される血清型の使用が企図される。例えば、AAV2血清型を使用して、AAV2のcap遺伝子由来のコードされたカプシドタンパク質および同じAAV2血清型由来の5'および3'逆方向末端反復(ITR)配列を含むゲノムを含むAAVを指す。] [0056] 「偽型」AAVは、一種の血清型由来のカプシドタンパク質、および異なるすなわち異種血清型の5'および3'逆方向末端反復(ITR)を含むウイルスゲノムを含むAAVを指す。偽型rAAVは、カプシド血清型の細胞表面結合性、およびITR血清型と一致した遺伝的性質を有すると予想され得る。偽型rAAVは、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質を含めたAAVカプシドタンパク質、およびAAV1〜AAV12の任意の霊長類AAV血清型を含めた任意の血清型AAV由来のITRを含むことができる、ただしカプシドタンパク質は、ITRの血清型と異種の血清型であるものとする。偽型rAAVでは、5'および3'ITRは同一または異種であってよい。偽型rAAVは、当技術分野で記載される標準的な技法を使用して生成する。] [0057] 「キメラ」rAAVベクターは異種カプシドタンパク質を含むAAVベクターを含む、すなわちrAAVベクターは、VP1、VP2およびVP3が全て同じ血清型のAAVのものではないように、そのカプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3に関してキメラであってよい。本明細書で使用するキメラAAVは、例えばAAV1およびAAV2由来のカプシドタンパク質だけには限られないが、これらを含めたカプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3が血清型が異なり、他のパルボウイルスカプシドタンパク質の混合物であるか、あるいは他のウイルスタンパク質または他のタンパク質、例えば所望の細胞または組織にAAVを標的送達するタンパク質などを含むAAVを含む。本明細書で使用するキメラrAAVは、キメラ5'および3'のITRを含むrAAVも含む。本発明は、異なるAAV血清型、例えばAAV1およびAAV2由来のITRを含むキメラrAAVベクターを含み、キメラrAAVは合成配列を含むことができる。] [0058] 血管拡張剤 血管拡張は、血管壁、動脈、細動脈、静脈、および小静脈内の平滑筋の弛緩から生じる血管の拡大である。血管拡張の結果として、血管耐性は低下し血流は増大する。内部および外部因子が血管拡張を誘導する可能性があり、このような因子は血管拡張剤と呼ばれる。血管拡張を引き起こす2つの一般的な機構、細胞内カルシウムの低下および/またはミオシン軽鎖(MLC)の脱リン酸化がある。これらの機構は、3つの一般的な経路、過分極仲介型、cAMP仲介型、またはcGMP仲介型によって実施される。したがって、血管拡張剤は1つまたは複数のこれらの中間経路を介してその効果を発揮することができる。一実施形態では、血管拡張剤は、アデノシン、ヒスタミン(またはヒスタミン誘発剤)、α遮断薬、テオブロミン、パパベリン、エタノール、テトラヒドロカンナビノール(THC)、ミノキシジル、または一酸化窒素(一酸化窒素増大物質を含む)だけには限られないが、これらを含むことができる。一実施形態では、1つの血管拡張物質のみを投与する。別の実施形態では、1つまたは複数の血管拡張剤の、一緒、逐次的、またはその組合せでの使用を企図する。好ましい実施形態では、血管拡張剤は一酸化窒素増大物質である。] [0059] 一酸化窒素(NO)は、短寿命化学伝達物質として働くことができ膜中を自由に拡散可能であるフリーラジカル分子である。NOは様々な生理的影響を有する。一般に、Jeremy M. Berg, et al. (2006)、Biochemistry、6th Edition. W. H. Freeman and Companyを参照。例えば、全身または局所送達後に平滑筋の収縮性を調節することによって、血管拡張を引き起こすことは知られている。中枢神経系では、NOはシナプス伝達に影響を与えて、学習および記憶能力を刺激することができる。別の例として、NOは血漿中の血小板凝集を誘導することができる。その親油性のため、一酸化窒素は、その起始細胞から他の近隣細胞に拡散し、シグナル伝達機構をもたらすことができる。冠動脈中では、NOは細胞質のグアニル酸シクラーゼを活性化し、血管平滑筋細胞中の環状グアノシン一リン酸(cGMP)形成を刺激し、血管拡張をもたらす可能性がある。] [0060] 任意の特定の作用機構に限られず、冠循環、または心臓に血液を供給する動脈の血管拡張は、以下でさらに記載する治療剤の導入効率を増大する可能性があることは発見されている。すなわち、治療剤の導入効率は、冠循環、心臓動脈、または全身に血管拡張剤または血管拡張を誘導することができる作用物質と、好ましくはNO増大物質の組合せを投与することによって高めることができる。本明細書で使用する「NO増大物質」は他に示さない限り2、3、4、5個またはそれより多くの化合物の組合せを含み、NOの量を実際には増大せずに、NOに対する受容体、例えばNOアゴニストを活性化することによってNOの増大を模倣する化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、主要作用物質を用いた治療の前、少なくとも部分的にその最中に、またはその後で治療を実施することができる。したがって、いくつかの実施形態では、NOをアジュバントとして使用して、主要治療剤の有効性、効率、または効能を増大することができる。いくつかの実施形態は、2、3、4、5個またはそれより多くのNO増大物質の組合せを含む。] [0061] 冠循環中のNOのレベルの増大は、一時的であっても、様々な知られている技法によって実施することができる。本明細書で使用するNO増大物質は、任意の以下の化合物または化合物のクラス、または2、3、4、5個またはそれより多くの以下の化合物または化合物のクラスの任意の組合せだけには限られないが、これらを含む。生理的条件下でNOを放出する作用物質は、心臓疾患の管理において長時間使用されている。これらの作用物質は、単なる一例として、NOドナー、NO放出分子、NO前駆体を含むことができる。例えば、NOドナーは、「ニトログリセリン」と一般に呼ぶこともできる三硝酸グリセリンなどの硝酸塩を含むことができる。硝酸塩の他の例には、硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドがある。NOドナーは、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれているMegsonIL、Webb DJ、「Nitric oxide donor drugs: current status and future trends」Expert. Opin. Investig. Drugs、2002 May; 11(5): 587〜601に記載された作用物質などの、他の作用物質も含むことができる。NO放出分子は、冠循環または冠動脈中のNOのレベルを増大することもできる。例えば、NO放出分子は、ジアゼニウムジオレート(diazeniumdiolate)またはNO放出非ステロイド性抗炎症薬(NO-NSAID)を含むことができる。L-アルギニンなどのNO前駆体を使用してNOのレベルを増大することもできる。使用することができる他の一酸化窒素増大物質には、分子状一酸化窒素、ニコランジル、および一酸化窒素シンターゼ、ニトロプルシドナトリウム、および四硝酸ペンタエリストリトール(PETN)がある。さらに、シルデナフィル、タダラフィル、およびバルデナフィルだけには限られないが、これらを含めたホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤などの、NOの影響を増大する作用物質も企図される。] [0062] いくつかの実施形態では、冠循環中の一酸化窒素の量を増大するために使用する物質は、一酸化窒素ドナーを含む。いくつかの実施形態では、一酸化窒素ドナーは硝酸塩を含む。好ましい実施形態では、硝酸塩は三硝酸グリセリンを含む。いくつかの実施形態では、硝酸塩は、四硝酸ペンタエリストリトール、硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドからなる群から選択される作用物質を含む。いくつかの実施形態では、一酸化窒素ドナーはニトロプルシドナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、冠循環中の一酸化窒素の量を増大するために使用する物質は、一酸化窒素放出分子を含む。いくつかの実施形態では、一酸化窒素放出分子は、ジアゼニウムジオレートおよび一酸化窒素放出非ステロイド性抗炎症薬からなる群から選択される作用物質を含む。いくつかの実施形態では、冠循環中の一酸化窒素の量を増大するために使用する物質は、分子状一酸化窒素、ニコランジル、および一酸化窒素シンターゼからなる群から選択される作用物質を含む。いくつかの実施形態では、冠循環中の一酸化窒素の量を増大するために使用する物質は、一酸化窒素前駆体を含む。いくつかの実施形態では、一酸化窒素前駆体はL-アルギニンを含む。] [0063] 血管拡張性物質の投与 1つまたは複数の血管拡張性物質は、全身、例えば舌下および経舌投与だけには限られないがこれらを含めた経口投与、パッチまたは軟膏による投与だけには限られないがこれらを含めた経皮投与、または静脈内注射または注入により投与することができる。好ましい実施形態では、1つまたは複数の血管拡張性物質は、冠動脈内注射または注入により投与することができる。別の好ましい実施形態では、1つまたは複数の血管拡張性物質は、静脈内注射または注入により投与することができる。以下の項は、これらの送達形態をさらに記載する。] [0064] 冠循環は心臓の組織への血液の供給をもたらす。冠動脈内投与は、in vivoで鼓動する心臓の冠循環の1つまたは複数の血管への注射または注入によって実施される。いくつかの冠動脈が存在する。通常、4つの主な冠動脈、左主および右冠動脈、左前下行動脈、および左回旋枝動脈が、心臓組織を介した流通で心臓に酸素を豊富に含んだ血液を与える。これらの動脈の1つまたは組合せの注射または注入、例えば左および右冠動脈への注射または注入が企図される。一実施形態では、1つまたは複数のNO増大物質だけには限られないがこれを含めた、1つまたは複数の血管拡張性物質の合計量の2/3を心臓の1つの血管に投与し、1/3は心臓の別の血管に投与する。別の実施形態では、3つ以上の冠動脈血管(例えば3、4、5またはそれより多く)に注射または注入し、血管当たりに投与する血管拡張剤の合計体積または量の一部分は必要に応じて調節することができる。好ましい実施形態は、左および右主冠動脈の順行性、心外膜注射、または注入を利用する。冠動脈の逆行性注射または注入、または1つまたは複数の順行性と逆行性冠動脈または静脈の組合せも企図される。] [0065] (1つまたは複数の)冠動脈血管への、(1つまたは複数の)NO増大物質だけには限られないがこれを含めた、1つまたは複数の血管拡張性物質の注射または注入は、必要に応じて標準的なガイドワイヤー、カテーテルおよび注入ポンプを使用して実施する。好ましい実施形態では、注射または注入用カテーテルを、大腿動脈経由で透視下において冠動脈に向ける。本明細書で使用する「冠循環の血管」、「冠動脈血管」または「心臓の血管」は、冠動脈血管への移植、例えばバイパス手術移植から生じる移植を含む。本明細書で使用する「心外膜」は、心臓の外側部分に位置する血管、例えば左または右冠動脈を指す。] [0066] 対象に投与する血管拡張性物質の量は、対象の大きさおよび投与の経路に依存する。好ましい実施形態では、1つまたは複数のNO増大物質だけには限られないがこれを含めた、1つまたは複数の血管拡張性物質を、ウイルスベクターまたは他の治療剤の投与前に約5分未満冠動脈に直接、(典型的には0.1〜2mLの体積、1分未満で)単回ボーラス注射として注射する。いくつかの実施形態では、(1つまたは複数の)NO増大物質を含めた(1つまたは複数の)血管拡張性物質を、ウイルスベクターまたは治療剤の投与前に約、少なくとも、少なくとも約、長くても、または長くても約0.5、1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、25、または30分、1、2、3またはそれ以上の時間、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である時間、好ましくは注射または注入によって、局所または全身に投与する。好ましい実施形態では、この範囲は0.5〜10分である。(1つまたは複数の)血管拡張性物質または(1つまたは複数の)NO増大物質は、ウイルスベクターまたは治療剤の投与の直前に、好ましくは単回ボーラス注射により投与することがより好ましい。いくつかの実施形態では、(1つまたは複数の)血管拡張性物質を注入によって投与する場合、ウイルスベクターまたは治療剤の投与は、血管拡張性物質の注入の終了後、約、少なくとも、少なくとも約、長くても、または長くても約0.5、1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、25、または30分、1、2、3またはそれ以上の時間、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である時間で始まる。] [0067] いくつかの実施形態では、(1つまたは複数の)血管拡張性物質または(1つまたは複数の)NO増大物質は、本明細書で記載するウイルスベクターまたは治療剤の前に注射または注入し、第二の用量の同じであるかまたは異なる(1つまたは複数の)血管拡張性物質または(1つまたは複数の)NO増大物質を、好ましくは少なくとも3分間にわたって、より好ましくは約4〜約10分間、または以下でより詳細に記載するように、ウイルスベクターまたは治療剤と同時に投与する。他の実施形態では、(1つまたは複数の)血管拡張性物質または(1つまたは複数の)NO増大物質を用いた事前治療を与えず、(1つまたは複数の)血管拡張性物質は、本明細書で記載するように投与するウイルスベクターまたは治療剤と同時に投与する。いくつかの実施形態では、同時投与は、治療剤と同じ溶液中の血管拡張性物質の投与である。他の実施形態では、同時投与は、血管拡張性物質と治療剤に関して異なる投与経路による投与である(例えば、それぞれ静脈内と冠動脈内)。] [0068] いくつかの実施形態では、1つまたは複数のNO増大物質だけには限られないがこれを含めた、1つまたは複数の血管拡張性物質を、ウイルスベクターまたは治療剤の後に投与する。この事後投与は、治療物質を用いた事前治療および/または同時投与に加えてよく、事前治療および/または同時投与において投与するのと同じであるかまたは異なる(1つまたは複数の)血管拡張性物質であってよい。いくつかの実施形態では、(1つまたは複数の)血管拡張性物質または(1つまたは複数の)NO増大物質を、ウイルスベクターまたは治療剤の投与後、約、少なくとも、少なくとも約、長くても、または長くても約0.5、1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、25、または30分、1、2、3またはそれ以上の時間、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である時間、好ましくは注射または注入によって投与する。好ましい実施形態では、この範囲はウイルスベクターの投与後0.5〜10分である。] [0069] 好ましい実施形態では、NO増大物質はニトログリセリンであり、本明細書で記載する1つまたは複数の用量で、冠動脈内注射または注入によって投与するニトログリセリンの合計量は、約50μg〜約500μg、より好ましくは約100μg〜約150μgである。冠動脈内注射または注入によって投与する、ニトログリセリン、または他の(1つまたは複数の)血管拡張剤または(1つまたは複数の)NO増大物質、または物質の組合せの企図される合計量、または投与当たりの量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000μg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。この量は治療剤と共に、またはその後に、事前治療として、注射または注入、またはその任意の組合せを受ける1つの冠動脈または全ての冠動脈に投与される量であってよく、または投与する合計量であってよい。当業者は、冠動脈内注射または注入に使用する血管拡張剤の用量は臓器の大きさと関連があり、対象の合計体重とは必ずしも関連がないことを理解している。一実施形態では、50μgのニトログリセリンの初回冠動脈内注射はウイルスベクターの注入の前に与え、第二の量の100μgのニトログリセリンは、好ましくは少なくとも3分間にわたって、より好ましくは約4分間、約10分間までウイルスベクターと共に注入する。] [0070] いくつかの実施形態では、静脈内注射または注入によって全身投与するニトログリセリンの合計用量は、好ましくは約200μg〜約4000μg、より好ましくは約500μg〜約2500μgである。全身注射または注入によって投与するニトログリセリンの企図される合計用量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、または4000μg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。いくつかの実施形態では、ニトログリセリンを5μg/分または約5μg/分静脈内投与し、20μg/分まで毎3〜5分5μg/分増大し、20μg/分で応答がない場合、用量は200μg/分まで毎3〜5分10μg/分増大することができる。全身注射または注入によって投与するニトログリセリンの企図される用量率は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、または400μg/分または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。(1つまたは複数の)血管拡張剤または(1つまたは複数の)NO増大物質の注入の合計時間は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約5、7、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、または600分、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。いくつかの実施形態では、IV注入はウイルスベクターまたは治療剤の投与前に開始し、その投与中続ける。] [0071] いくつかの実施形態では、経口手段によって全身投与するニトログリセリンの合計用量は、好ましくは約5mg〜約105mg、より好ましくは約10mg〜約80mgである。別の実施形態では、好ましい用量は約15mg〜約80mgである。経口投与するニトログリセリンの企図される合計用量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約0.4、0.5、0.75、1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、または125mg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。] [0072] 別の実施形態では、舌下投与によって全身に与えるニトログリセリンの量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約36、54、72、90、108、126、144、162、180、198、216、234、252、270、288、306、324、342、または360mg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。いくつかの実施形態では、ニトログリセリンを舌下投与し、この場合用量は約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、または1mg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。舌下用量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約毎1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である間隔で投与する。好ましい実施形態では、ニトログリセリンの舌下投与は、毎15分の最大3回投与に関して毎5分で約0.2〜約0.6mgを与える。別の実施形態では、ニトログリセリンはスプレー、ドロップ、またはミストによって経舌で与えることができる。口中への1〜2スプレーは、15分中最大3回投与に関して毎3〜5分で与えることができる。] [0073] いくつかの実施形態では、ニトログリセリンの全身投与は、経皮パッチを用いた経皮送達によって行うことができる。経皮パッチを介して全身投与するニトログリセリンの合計用量は、好ましくは約2.4mg〜約15.6mg、より好ましくは約4.8mg〜約9.6mgである。経皮パッチを介して投与するニトログリセリンの企図される合計用量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約2.4、3.6、4.8、6、7.2、8.4、9.6、10.8、12、13.2、14.4、または15.6mg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。いくつかの実施形態では、ニトログリセリンは経皮パッチを介して投与し、その用量は約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、または0.65mg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。経皮パッチ用量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約毎15、30、45、60、75、または90分、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である間隔で投与する。別の実施形態では、経皮パッチを介して投与するニトログリセリンの企図される用量率は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、または1mg/時間、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。好ましい実施形態では、ニトログリセリンを約0.2〜0.4mg/時間、最大0.4〜0.8mg/時間の用量の初回用量で経皮的に与える。12〜14時間のパッチオン期間および約10〜12時間のパッチオフ期間を使用することによって耐性は最小になる。] [0074] 別の実施形態では、ニトログリセリンの全身投与は、軟膏の局所施用による経皮送達によって行うことができる。局所軟膏によって投与するニトログリセリンの企図される合計用量は、約、少なくとも上昇時に約1/2"平方インチ、および6時間後に1/2"平方インチで、約0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.4%、1%、または2%ニトログリセリンの濃度、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。好ましい実施形態では、軟膏の濃度は0.2%である。用量は必要に応じて数回倍にすることができる。] [0075] いくつかの実施形態は、皮下注射または注入による皮膚を介したニトログリセリンの全身送達を企図する。いくつかの実施形態では、皮下投与するニトログリセリンの合計用量は、好ましくは約5mg〜約105mg、より好ましくは約10〜約80mgである。別の実施形態では、好ましい用量は約15mg〜約80mgである。皮下投与するニトログリセリンの企図される合計用量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約0.4、0.5、0.75、1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、または125mg、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。] [0076] 好ましい実施形態では、(1つまたは複数の)血管拡張剤または(1つまたは複数の)NO増大物質または物質の組合せを、血管拡張または血管透過を増大するのに十分な量、任意の他の血管拡張剤または血管浸透促進物質なしで投与する。いくつかの実施形態では、NO増大物質または物質、好ましくはニトログリセリンの組合せは、ウイルスベクターまたは治療剤の投与前、最中および/または後に投与される、唯一の血管拡張剤または血管浸透促進剤である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載するNO増大物質以外、ウイルスベクターまたは治療剤の投与前、最中および/または後に、血管拡張剤または血管浸透促進物質を投与しない。一実施形態では、本明細書で記載するNO増大物質、好ましくはニトログリセリン以外、ウイルスベクターまたは治療剤の投与前、最中および/または後に、ウイルスベクターまたは治療剤の取り込みを増大させるのに十分な量の、いかなる血管拡張剤または透過促進物質でも対象は治療しない。いくつかの実施形態において投与から除外することが好ましい血管拡張または透過促進物質には、血管内皮増殖因子(VEGF)、アデノシンおよびカルシウムがあるが、これらだけには限られない。] [0077] いくつかの実施形態では、1つまたは複数の血管拡張性物質の量は、トランスフェクション増大または薬剤としてもしくは治療上有効な量であり、この量はウイルスベクターまたは治療剤の形質導入の効率を増大するのに十分である。トランスフェクションの増大は、トランスフェクション効率を調べることによって直接測定することができ、または本明細書で論じる1つまたは複数の症状または結果の改善などの、成功したトランスフェクションの他の指標を測定することによって間接的に測定することができる。増大量は、(1つまたは複数の)血管拡張剤または(1つまたは複数の)NO増大物質を投与しないときの、同じ指標と比較して調べた指標を改善する量である。] [0078] 治療剤の投与 本発明の好ましい実施形態では、以下でより詳細に記載する治療剤、例えばポリヌクレオチド/ウイルスベクターを、特定の血管中に少なくとも3分間、in vivoで鼓動する心臓の冠循環の血管への注入によって対象に投与する。ヒト心臓および心臓血管疾患の大型動物モデルにおいて、本出願人は、比較的長い注入時間のウイルスベクターの投与は、同量のウイルスベクターのボーラス注射または短時間(例えば1分以下)の注入時間より有効であり、心臓組織への優れた遺伝子導入効率をもたらすことを予想外に見出している。注入の改善された効率は、注射と比較した、細胞当たりのトランス遺伝子の多くのコピー数、細胞当たりまたは組織中のmRNAおよび/またはタンパク質レベルでのトランス遺伝子の増大した発現、および/またはトランスフェクトされる特定組織の細胞、例えば心筋細胞の高い割合として測定することができる。別の実施形態では、臨床的または機能的測度を使用して、比較的長い注入時間からトランスフェクション効率を実証することができる。このような臨床および機能評価は本明細書でさらに記載する。] [0079] 本出願人は、この方法がヒト心臓血管疾患の大型動物モデルの首尾よい治療をもたらすことを示している。さらに本出願人は、比較的長い注入時間を使用することによって、体循環から冠循環を分離する、あるいはその他の形で治療剤を再循環させる、あるいは冠循環内の圧力の増大または治療剤の滞留時間の増大のための手段としての冠静脈循環を人為的に制限する必要がないことを発見している。心臓を冷却する、心臓を停止させる、または灌流用に動物から心臓を除去する必要もない。その代わり、本出願人の手順は、既存の投与用カテーテルを使用する標準的カテーテル法の研究室設定で実施することができる。したがって本出願人は、ヒトなどの大型動物において心臓血管疾患を治療するために遺伝子治療を使用する、簡潔、実用的、かつ有効な手段を発見している。] [0080] 本発明の好ましい実施形態では、冠循環の血管への注入によって対象に治療剤を投与する。冠循環は心臓の組織への血液供給をもたらす。いくつかの冠動脈が存在する。通常、4つの主な冠動脈;左主および右冠動脈、左冠動脈前下降枝、および左回旋枝が、心臓組織を通じて分布させるために心臓に酸素含有血液を与える。これらの動脈の1つまたは組合せの注入、例えば左および右冠動脈の注入が企図される。好ましい実施形態は、左および右主冠動脈の順行性の心外膜注入を利用する。冠動脈の逆行性注入、または1つまたは複数の順行性および逆行性の冠動脈または静脈の組合せも企図される。冠動脈血管の注入は、標準的なガイドワイヤー、カテーテルおよび注入ポンプを使用して実施する。好ましい実施形態では、注入用カテーテルを、大腿動脈経由で透視下において冠動脈に向ける。本明細書で使用する「冠循環の血管」、「冠動脈血管」または「心臓の血管」は、冠動脈血管への移植、例えばバイパス手術移植から生じる移植を含む。本明細書で使用する「心外膜」は、心臓の外側部分に位置する血管、例えば左または右冠動脈を指す。] [0081] ひとたび注入用カテーテルを標的冠動脈血管中の適所に置いた後、好ましくはプログラム可能な注入ポンプによって、治療剤を血管に注入する。治療剤を注入するのに要する時間の量は、有効かつ優れた遺伝子導入効率を得る際の重要な要因である。本出願人は、特定の血管中に少なくとも約3分間の注入時間は、ボーラス注射またはさらに短い注入時間より有効であることを測定している。好ましくは、注入時間は少なくとも約8分間、より好ましくは少なくとも約10分間であるが、少なくとも約15分間の注入時間が企図される。本出願人は、注入時間は約、少なくとも、少なくとも約、長くても、または長くても約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20分である、あるいはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲の範疇にあることも企図する。] [0082] 注入はカテーテルおよび死容積を有する接続管の使用を典型的に含むので、いかなる治療剤も含まない担体溶液、例えば対象由来の血液を、注入用デバイスに満たすことが多い。したがって、注入ポンプを作動させたときに、治療剤を冠循環に即座に投与することはない。同様に、治療剤を含むシリンジが空であるとき、一定量の治療剤が接続管およびカテーテルの死容積中に典型的には残存する。治療剤の注入直後に、適切な溶液で死容積部分を洗い流す。注入装置内の死容積の移動に対して、治療剤を冠循環に実際に送達する時間期間が前に言及した「注入時間」である。例えば、3mLの治療剤を3mLの死容積を有する注入装置に充填し、注入速度が1mL/分である場合、冠循環に治療剤を注入するのに必要な時間はわずか3分間であり、3mLの治療剤および3mLの死容積を投与するのに必要な合計時間は6分間である。いくつかの実施形態では、カテーテルおよび任意の接続管を、死容積が問題ではないように治療剤で満たす。同様に、管を洗い流す必要なしで、有効量の治療剤を送達することが可能であった。しかしながら、これは管中の治療剤の残存をもたらし、治療剤を浪費する。] [0083] 本出願人は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0mL/分である、あるいはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲の範疇にある流速で、治療剤を注入することを企図する。好ましくは、流速は約0.2mL/分と約6.0mL/分の間、より好ましくは約0.2mL/分と約2.5mL/分の間、より好ましくは約0.2mL/分と約2.0mL/分の間である。当業者は、注入ポンプなしでの治療剤の送達は可能であるが、しかしながら、より正確な流速および均一な送達が注入ポンプの使用によって可能であることを理解しているはずである。] [0084] 有効量を与えるために注入によって送達するウイルス粒子またはDNase耐性粒子(DRP)の合計量は、好ましくは1×1014と約1×1011の間、より好ましくは約3×1012と1×1012の間、およびより好ましくは約3×1012である。しかしながら本出願人は、ウイルス粒子またはDRPの合計量は約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約1×1014、9×1013、8×1013、7×1013、6×1013、5×1013、4×1013、3×1013、2×1013、1×1013、9×1012、8×1012、7×1012、6×1012、5×1012、4×1012、3×1012、2×1012、1×1012、9×1011、8×1011、7×1011、6×1011、5×1011、4×1011、3×1011、2×1011、1×1011、9×1010、8×1010、7×1010、6×1010、5×1010、4×1010、3×1010、2×1010、1×1010、9×109、8×109、7×109、6×109、5×109、4×109、3×109、2×109、1×109、またはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲の範疇にあることも企図する。] [0085] 所与の時間注入するDRPの数は、注入する溶液の濃度および流速の関数である。DRPまたはウイルス粒子注入の割合は、好ましくは約1×108/分と約1×1014/分の間、より好ましくは約5×1010/分と約5×1012/分の間、より好ましくは約3×1010/分と約1×1012/分の間、より好ましくは約6×1010/分と約4×1011/分の間である。好ましい実施形態では、DRPまたはウイルス粒子注入の割合は1×1011/分であり、および他の好ましい実施形態では、それは1.25×1011/分である。] [0086] 一実施形態では、治療剤は心臓の1本の血管に投与する。他の実施形態では、治療剤の合計体積の2/3を心臓の1本の血管に送達し、1/3は心臓の他の血管に投与する。他の実施形態では、3本以上の冠動脈血管に注入し(例えば3、4、5本あるいはそれ以上)、血管当たりに投与する治療剤を含む合計注入体積の割合は、必要に応じて調節することができる。注入の目的は、順行性の、心外膜冠動脈注入による、AAV2/1/SERCA2aへの広範、均質な左心室心筋の露出をもたらすことである。同時側性化パターン、閉塞性疾患、および解剖的変異(例えば、バイパス手術後の解剖学的構造)に基づく多数の注入シナリオが存在するが、臨床医の目的はAAV2/1/SERCA2aの1/3を前外側に送達し、1/3を後外側に送達し、かつ1/3を下部/下外側心筋に送達することである。灌流心筋への均質な送達を実施するために、冠動脈およびバイパス移植によって解剖学的構造を定義する。さらに当業者は、ヒツジとブタはヒト心臓血管試験用の容認された動物モデルである一方で、ヒツジとブタは90%が左優性であることを理解しているはずである。相対的に、ヒト集団の約10%までが左優性であり、残りの90%は右または相互優性である(Vlodaver Z. et al. Coronary Heart Disease: Clinical、Angiographic、and Pathologic Pofiles. Spinger-Verlag、New York. 1976)。1つの病理学システムは、71%の患者は右優性であり、17%は相互優性であり、12%は左優性であることを示唆する(McAlpine W. Heart and Coronary Ateries. Spinger Verlag、1975)。したがって、ヒト対ブタ/ヒツジにおいて左心室の類似した灌流を実施するためには、最適な注入シナリオは異なる可能性がある。] [0087] 溶液体積の1/3と2/3の分割は2本の血管には好ましいが、しかしながら、特定の血管に注入する注入量の割合は、合計量の約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80%である、あるいはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲の範疇にある量であってよい。治療剤を含む溶液の合計量は、治療する動物の大きさに応じて変わるはずである。ヒト対象に関しては、60mLの合計治療剤量が好ましい。しかしながら、治療剤の合計量は、約、少なくとも、少なくとも約、多くて、または多くて約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、または150mLである、あるいはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲の範疇にある量であってよい。] [0088] 本明細書に記載する治療剤は、冠循環に直接投与するのに適した溶液、好ましくは医薬組成物であってよい。許容可能な医薬組成物の成分は当業者に知られており、バッファーおよび適切な担体などの要素を含むことができる。他の実施形態では、治療剤、例えばウイルスベクター、およびより好ましくはAAV2/1/SERCA2aベクターを含む医薬組成物はキットの一部分である。いくつかの実施形態では、キットは治療剤のストック溶液およびストック溶液を希釈するための溶液を含む。好ましくは本明細書に開示する実施形態のいずれかに記載する冠循環への直接注入による、ウイルスベクターの投与に関する説明書もキット中に含まれる。本明細書で記載する(1つまたは複数の)NO増大物質だけには限らないがこれを含めた治療剤および(1つまたは複数の)血管拡張剤は、本明細書に開示する疾患を治療するための薬剤の製造において使用することができ、この場合薬剤は本明細書に開示する方法のいずれかに従って、またはそれらを実施して投与する。] [0089] ポリヌクレオチド送達の方法 本発明の一態様は、細胞中への治療用ポリヌクレオチドの導入を企図する。このような導入は、ウイルスまたは非ウイルス的遺伝子導入法を利用することができる。この項は、アンチセンス、干渉、低分子干渉配列の導入を含めた、遺伝子または核酸導入の方法および組成物の考察を与える。] [0090] 一実施形態では、治療上有意なポリヌクレオチドをウイルスベクターに組み込んで、細胞への導入を介在する。本明細書に記載する他の治療剤をコードする他の発現構築体も、例えば本発明のアデノ随伴ウイルス(AAV)またはAAV分子変異体を用いた形質転換によって、感染性ウイルス粒子を使用するウイルス形質導入によって導入することができる。あるいは、レトロウイルス、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ワクシニアウイルス、ポリオーマウイルス、または発現するように工学的に作製された感染性ウイルスを使用することができる。同様に、灌流、裸DNAトランスフェクション、リポソーム介在トランスフェクション、カプセル化、および受容体介在エンドサイトーシスなどによるDNAの直接送達だけには限られないが、これらを含めた非ウイルス的方法を使用することができる。これらの技法は当業者にはよく知られており、その詳細は本発明の核心に存在せず、したがって本明細書で包括的に詳述する必要はない。しかしながら、好ましい一例では、ウイルスベクターを心臓細胞の形質導入に使用して、治療上有意なポリヌクレオチドを細胞に送達する。受容体介在エンドサイトーシスなどの特異的手段によって、あるいはピノサイトーシスなどの非特異的手段によって、ウイルスは細胞の内側に侵入することができる。] [0091] アデノ随伴ウイルスベクター 本発明の好ましい実施形態は、精製済み、複製不能な、偽型組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を利用する。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、デペンドウイルス属に属するパルボウイルスである。それらは、複製するためにヘルパーウイルスを必要とする、小さな、非エンベロープ型の、一本鎖DNAウイルスである。ヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、またはワクシニアウイルス)との重感染は、機能的に完全なAAVビリオンを形成するのに必要である。In vitroでは、ヘルパーウイルスとの重感染の不在下において、AAVは潜伏状態を確立し、その間ウイルスゲノムはエピソーム形で存在するが、感染性ビリオンは生成されない。ヘルパーウイルスによる後の感染はゲノムを「レスキュー」し、それを複製しウイルスカプシドにパッケージすることができ、それによって感染性ビリオンを再構築することができる。近年のデータは、in vivoでは野生型AAVと組換えAAVの両方が大型エピソームコンカテマーとして主に存在することを示す。] [0092] AAVはいかなる既知のヒト疾患とも関係がなく、一般に病原性であるとは考えられず、組込み時に宿主細胞の生理的性質は変えないようである。AAVは非分裂細胞を含めた広範囲の宿主細胞に感染することができ、異なる種由来の細胞に感染することができる。細胞性応答と体液性応答の両方によって即座に除去または不活性化されるいくつかのベクターとは対照的に、AAVベクターはin vivoで様々な組織において持続的発現を示している。in vivoでの非分裂細胞における組換えAAVベクターの持続性は、原型AAVウイルス遺伝子の欠如およびエピソームコンカテマーを形成するベクターの能力に原因がある可能性がある。] [0093] アデノ随伴ウイルス(AAV)は細胞形質導入において使用するのに魅力的なベクター系である、何故ならそれはエピソームコンカテマーとして高頻度の持続性を有し、非分裂細胞に感染することができ、したがって哺乳動物細胞、例えば組織培養物およびin vivoへの遺伝子の送達に有用となるからである。遺伝子送達におけるAAVの使用を実証する研究には、Flotte et el.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1993; 90: 10613〜17およびWalsh et al.、J Clin. Invest.、1994; 94: 1440〜48がある。組換えAAVベクターは、マーカー遺伝子およびヒト疾患と関係がある遺伝子のin vitroおよびin vivo形質導入に首尾よく使用されてきている(例えば、Walsh et el.、J. Clin. Invest. 1994; 94: 1440〜48を参照)。AAVは広い宿主感染範囲を有する。rAAVベクターの生成および使用に関する詳細は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,139,941号および/または米国特許第4,797,368号中に記載されている。] [0094] 典型的には、組換えAAV(rAAV)ウイルスは、2つのAAV末端反復に隣接する当該の遺伝子を含むプラスミド、および/または末端反復を含まない野生型AAVコード配列を含む発現プラスミド、例えばpIM45を同時トランスフェクトすることによって作製される。アデノウイルスおよび/またはAAVヘルパー機能に必要なアデノウイルス遺伝子を有するプラスミドを、細胞にさらに感染させるかつ/あるいはトランスフェクトする。このような形式で作製したrAAVウイルスストックはアデノウイルスで汚染されており、(例えば、塩化セシウム密度勾配遠心法またはカラムクロマトグラフィーによって)rAAV粒子とは物理的に分離しなければならない。あるいは、AAVコード領域を含むアデノウイルスベクターおよび/またはAAVコード領域を含む細胞系および/またはアデノウイルスヘルパー遺伝子の一部または全部を使用することができる。組み込まれたプロウイルスとしてrAAVのDNAを有する細胞系を使用することもできる。] [0095] 多数の血清型のAAVが天然に存在し、少なくとも12の血清型(AAV1〜AAV12)が現在知られている。さらに、キメラ変異体が指向進化(DNAシャッフリング)技術(Li et al. 参照)によって生成されている。高度の相同性にもかかわらず、異なる血清型は異なる組織に対する指向性を有する。AAV1の受容体は知られていないが、しかしながらAAV1は、AAV2より効率良く骨格筋および心筋に形質導入されることが知られている。大部分の試験が、AAV2のITRと隣接するベクターDNAが他の血清型のカプシドにパッケージされている偽型ベクターを用いて実施されているので、生物学的差異はゲノムではなくカプシドと関係があることは明らかである。近年の証拠は、AAV1カプシドにパッケージされたDNA発現カセットは、心筋細胞への形質導入においてAAV2カプシドにパッケージされたカセットより少なくとも1log10有効であることを示す。] [0096] 工学的改変rAAVベクター 一実施形態では、AAVベクターを工学的に改変して中和抗体(NAb)力価および/または交差反応性を低下させることが可能である。Nabと工学的改変ベクターまたはキメラベクターの交差反応性は、野生型ベクターの交差反応性より、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、または99%低いことが好ましい。交差反応性は、本質的に存在しないことがより好ましい。交差反応性および/またはNab力価の低下をAAVカプシドタンパク質の工学的改変により実施して、キメラおよび/または改変rAAVベクターを作製することができる。DNAシャッフリング(ファミリーまたは単一遺伝子)(いずれも参照によりその全内容が本明細書に組み込まれている、Li et al.、Crameri, A et al. (1998).「DNA shuffling of a family of genes from diverse species accelerates directed evolution.」Nature 391: 288〜291、およびStemmer, WP (1994).「Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling.」Nature 370: 389〜391を参照)、部位特異的突然変異、変異性PCR(参照により本明細書に組み込まれている、Moore, G. L.、Maranas, C. D.、2000.「Modeling DNA mutation and recombination for directed evolution experiments.」J. Theor. Biol. 205、483〜503)、キメラの作製、またはDNAシャッフリングと変異性PCR技法を取り込んだ方法である交互延長プロセスなどのその組合せ(参照によりその全内容が本明細書に組み込まれている、Maheshri, N et al. (2006).「Directed evolution of adenoassociated virus yieldsenhanced gene delivery vectors.」Nat Biotechnol 24: 198〜204)だけには限られないが、これらを含めた、遺伝子、例えばカプシド遺伝子を工学的に改変するための、いくつかの方法が当技術分野で知られている。カプシドタンパク質を工学的に改変した後、rAAVベクターを選択またはスクリーニングするのに望ましい性質に関してアッセイする。例えば、選択および/またはスクリーニングを使用して、Nabに対する反応性または交差反応性の低下をもたらす性質を取り込んだrAAVクローンを単離することができる。Li et al.に記載のとおり、AAVカプシドタンパク質のコードを担う遺伝子(すなわち、cap遺伝子)に対してDNAシャッフリング技法を使用した後に改変rAAVベクターを生成した。これらの著者が作製した工学的改変rAAVクローンは多数の血清型の組合せから生成し、したがって様々な親の血清型を表すゲノム断片を含有していた。改変rAAVベクターの免疫学的プロファイルを評価するために、それを一連の交差反応性試験に施した。これらの試験では、工学的改変rAAVベクターが由来した特定のAAV血清型(すなわち、親の血清型)で免疫処置したマウスから、抗血清を採取した。Li et al.の試験におけるアッセイは、Nab力価およびAAVの親の血清型で免疫処置したマウスから作製した抗血清と工学的改変rAAVベクターが交差反応した程度を評価した。結果は、4つの親の血清型の3つ由来の抗血清は工学的改変rAAVクローンと交差反応せず、一方残りのサンプルは25倍低いNab力価を示したことを示した。] [0097] 別の実施形態では、形質導入効率および/または特異性を高めるためにAAVベクターを工学的に改変することができる。形質導入効率および/または特異性の増大は、AAVカプシドタンパク質を工学的に改変してキメラおよび/または改変rAAVベクターを作製することによって実施することができる。DNAシャッフリング(ファミリーまたは単一遺伝子)、部位特異的突然変異、変異性PCR、キメラの作製、またはDNAシャッフリングと変異性PCR技法を取り込んだ方法である交互延長プロセスなどのその組合せだけには限られないが、これらを含めた、遺伝子を工学的に改変するための、いくつかの方法が当技術分野で知られている。カプシドタンパク質を工学的に改変した後、rAAVベクターをアッセイする望ましい性質に関してアッセイする。例えば、選択および/またはスクリーニングを使用して、(1つまたは複数の)標的組織または細胞に対する効率および/または特異性の増大を得たrAAV変異体を単離することができる。] [0098] 治療効果 好ましい実施形態では、本明細書で開示する治療剤の注入を使用して、心臓疾患に罹患する患者において治療効果を得る。治療する個体は、治療効果が得られたかどうかを判断するために、心臓障害を伴う臨床的特徴に関してモニタリングすることができる。例えば、心臓血管疾患と関係がある悪影響および症状の低下に関して、対象をモニタリングすることができる。例えば、本明細書に開示する方法を使用して対象における鬱血性心不全を治療した後、増大した側脳室の短縮率、細胞および無傷動物レベルで増大した心筋収縮性、心臓リモデリングの反転、および異常に高い心臓拡張レベルの細胞質カルシウムの正規化だけには限られないが、これらを含めた、いくつかのパラメータの改善に関して対象を評価することができる。本発明の技術を用いて治療する対象においてモニタリングすることができる他の臨床および心臓パラメータには、生存、心臓代謝、心筋収縮性、心拍数、心室機能(例えば、左心室拡張末期圧(LVEDP)、左心室収縮末期圧(LVSP))、Ca2+代謝(例えば、細胞内Ca2+濃度、ピークまたは休止状態[Ca2+]、SRのCa2+ATPase活性、ホスホランバンのリン酸化状態)、力発生、弛緩、力収縮頻度関係、心臓細胞の生存またはアポトーシスまたはイオンチャンネル活性(例えば、ナトリウムとカルシウムの交換、ナトリウムチャンネル活性、カルシウムチャンネル活性、ナトリウムカリウムATPaseポンプ活性)、ミオシン重鎖、BNPおよびNT-proBNP、トロポニンI、トロポニンC、トロポニンT、CK-MB、トロポミオシン、アクチン、ミオシン軽鎖キナーゼ、ミオシン軽鎖1、ミオシン軽鎖2またはミオシン軽鎖3、IGF-1受容体、PI3キナーゼ、AKTキナーゼ、ナトリウム-カルシウム交換体、カルシウムチャンネル(LおよびT)、カルセクエストリンまたはカルレチクリンの活性があるが、これらだけには限られない。評価は治療の前、後、および最中に実施することができる。モニタリングすることができる心臓疾患の他の測定値は、短縮率、心拍出量、駆出率、Tau、逆流速、短期間の入院、生活の質、およびトレッドミル時間、6分間歩行試験中に歩いた距離、および最大酸素消費量(VO2max)を含む。一実施形態では、患者を当技術分野で知られている分子生物学の技法を用いてモニタリングして、 細胞および/または組織中に存在するrAAVベクターDNA、RNA、および/またはタンパク質を測定することができる。いくつかの実施形態では、細胞当たりのトランス遺伝子のコピー数、細胞当たりまたは組織中のmRNAおよび/またはタンパク質レベルでのトランス遺伝子の発現、および/またはトランスフェクトされる特定組織の細胞、例えば心筋細胞の割合を評価することができる。] [0099] 好ましい実施形態では、血管拡張性物質、好ましくは本明細書で記載するNO増大物質、より好ましくはニトログリセリンの投与によって、治療剤の導入の効率が増大する。いくつかの実施形態では、血管拡張剤またはNO増大物質の投与によって治療剤単独の投与によって得られる治療効果が改善し、この場合治療効果は本明細書で記載するようにモニタリングする。いくつかの実施形態では、血管拡張剤またはNO増大物質の投与は、同レベルの治療効果をより少ない治療剤で得ることができるような、治療剤の改善された有効性をもたらす。改善された有効性は、単回投与で必要とされるより少ない治療剤、または経時的な治療剤のより少ない投与をもたらし得る。いくつかの実施形態では、血管拡張性物質の投与は、治療効果の期間を延長することによって、治療剤単独の投与によって得られる治療効果を改善する。いくつかの実施形態では、治療剤の導入効率、治療効果、または有効性の改善は、血管拡張性物質を投与せずに得た値と比較したとき、約、少なくとも、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、125、150、175、または200%、または2、3、4、5、7、10、15、または20倍である、あるいは前述の値のいずれか2つによって定義される範囲である。例えば、駆出率の増大が血管拡張性物質なしの治療後に3カ月続くことが観察される場合、血管拡張性物質を用いた治療後の治療効果の50%の増大は、4.5カ月続く駆出率の増大をもたらすことになろう。] [0100] 本明細書で開示する方法および開示する治療剤は、薬剤または外科的介入などの心臓疾患の既存の治療と組み合わせて、既存の治療単独と比較して増大した治療効果をもたらすことができる。増大した治療効果は例えば、既存の治療レジメンに関する平均的または典型的時間期間と比較した疾患の兆候または症状の悪化間の時間期間の延長、または標準的治療単独の平均的または典型的時間と比較してさらなる治療が必要とされるまでに必要な時間の増大によって実証され得る。] [0101] キット 本明細書で企図する他の実施形態は、治療剤、例えばウイルスベクター、およびより好ましくはAAV2/1/SERCA2aベクターの容器、および1つまたは複数の血管拡張性物質の容器を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、ストック量の治療剤およびストック量を溶解または希釈するための担体溶液を含有する。いくつかの実施形態では、キットは、(1つまたは複数の)NO増大物質だけには限らないがこれを含めたストック量の(1つまたは複数の)血管拡張剤、およびストック量を溶解または希釈するための担体溶液を含有する。いくつかの実施形態では、キットは、容器および治療剤と一定量の(1つまたは複数の)血管拡張性物質の混合物を含有する。ストック量の治療剤および/または(1つまたは複数の)血管拡張性物質は、担体溶液、希釈を必要とする濃縮溶液中での溶解または混合を必要とする乾燥形、または追加的な調製なしで患者に投与する状態である形であってよい。いくつかの実施形態では、キットは、(1つまたは複数の)血管拡張性物質および/または治療剤の冠動脈内投与用の、1つまたは複数の血管内注入用または注射用カテーテルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、カテーテル、例えばシリンジを介して、キット中の化合物を投与するための1つまたは複数のデバイスを含む。キットは、好ましくは冠循環への直接注入による、本明細書で開示する実施形態のいずれかに記載したウイルスベクターおよび/または治療剤の投与に関する説明書も含むことができる。] [0102] 以下の非制限的な実施例において、本発明の実施形態をここでさらに記載する。特許および非特許文献を含めた本明細書で開示する全ての参照文献は、特に本明細書で言及するそれらの開示に関して、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれている。] [0103] [実施例1] 正常なGottingenコブタにおけるAAV1/SERCA2a(MYDICAR(登録商標))の直接冠動脈内注入の30日間の、単回投与、組織分布試験 I.プロトコルの概要] [0104] ] [0105] ] [0106] 投与方法 以下に記載する直接冠動脈内注入手順により第0日に投与した。群1〜3からの動物には合計容積12mLのAAV1/SERCA2a溶液を投与し、これは10分間にわたって1.2mL/分の定速で注入した。群3および4からの動物には、AAV1/SERCA2aの投与直前にボーラス冠動脈内注射としてニトログリセリンを与えた。群3からの動物には合計容積12mLのAAV1/SERCA2aおよびニトログリセリン溶液を投与し、これは10分間にわたって1.2mL/分の定速で注入した。群4からの動物には合計容積12mLの正常生理食塩水を投与し、これは10分間にわたって1.2mL/分の定速で注入した。直接注入システムは、従来のガイドシース、0.014"のガイドワイヤー、5F注入(ガイド)カテーテルおよび2つのプログラム可能なシリンジポンプを含む、標準的な(市販の)構成要素から構成される。直接冠動脈内注入手順は、一般的な頸動脈または大腿動脈手法を使用して従来のガイドシースの導入で開始した。冠動脈注入カテーテル(例えば、Cordis Vista Brite Tip Guiding Catheterまたは左主冠動脈の挿管に適した類似モデル)を、次いで透視下で左主冠動脈中に置いた。カテーテルを適所に置いた後、標準的な管およびパージ技法を使用して、それを第一のプログラム可能なシリンジポンプ(例えば、NE-1000 Programmable Syringe Pump, New Era Pump Systems)と結び付けた。AAV1/SERCA2aを次いで送達し、次にカテーテルの死容積および第二のプログラム可能なシリンジポンプを滅菌生理食塩水で洗浄した。] [0107] 結果 結果は、ニトログリセリンなしでAAV1/SERCA2aで治療した対象と比較した、AAV1/SERCA2aおよびニトログリセリンで治療した対象における1つまたは複数の生物活性/有効性測定値の実質的改善を示す。SERCA2aの発現は、第30日での末期屠殺時の図1に示す心臓切片(SERCA2aの発現に関する心臓切片の図、A(LV基底層)、#1中隔、#2 LV前壁、#3 LV自由壁、#4 LV後壁、B(LV中間層)、#5中隔、#6 LV前壁、#7 LV自由壁、#8 LV後壁、C(LVの先端層)、#9 LV前壁、#10 LV後壁、(RV)、#11 RV自由壁基底層、#12 RVの自由壁先端層)からの心臓(LV自由壁、LV後部(下部)セグメント、およびLV前部セグメント)中での、RT-PCR(mRNA)およびウエスタンブロット(タンパク質)によって評価した。左心室中の個々の切片の全体的なmRNAおよびタンパク質の発現を計算し(図1の切片1〜10の合計)、中隔(図1の切片#5)、および中間層前壁(図1の切片#6)も別々に分析した。これらの領域は、注入部位から最も遠い心筋深部を表すからである。これらの心筋深部領域への適切な遺伝子導入を得ることは最も困難であるが、しかしながら、ニトログリセリンの投与は、特にこれらの領域へのベクターの取り込みを増大させた。以下の結果は、特にLV前壁および中隔内にニトログリセリンと組み合わせてAAV1/SERCA2aを投与したときの、SERCA2aのmRNAおよびタンパク質の発現の改善を示す。それぞれ図2、および3を参照。SERCA2aのmRNAおよびタンパク質の正常なバックグラウンドレベル以外に、mRNAおよびタンパク質の増大をこれらの図に示す。これは、SERCA2aの発現レベルが正常レベル未満である心不全に罹患しているヒトとは対照的である。したがって、心不全を有する患者におけるSERCA2aの発現レベルに対するAAV1/SERCA2a治療の影響は、SERCA2a発現の低いベースラインレベルを考慮すると、図2および3で報告された影響よりさらに一層顕著であると予想される。] [0108] 安全性 群3および4からの平均大動脈圧を図4に示す。見られた変化は、実験の行程にわたって予想された変化内の大部分の変化である。ベースラインと比較して平均大動脈圧(MAP)の最大6mmHgの低下があったこと、および群4中の一時間地点以外は、ニトログリセリン治療動物に関する全ての他の変化は同じ範囲内であったことに留意されたい。このようなMAPの適度な低下は意味のあるものではなく、安全上の問題を引き起こすことはない。比較によって、Sasanoらは、事前治療およびウイルス溶液の注入後の30mmHgの血圧低下と報告した。さらに、Sasanoの試験中の対象は平均約50〜60/分であった心拍数の低下を経験した。著者らは、血圧および心拍数は灌流の1分以内で安定化したと報告する。それにもかかわらず、心室細動(VF)は第一の10匹のブタに関しては冠動脈内注入中に50%の割合で起こったが、残りの71匹のブタに関しては5.6%に低下した。] [0109] [実施例2] 予備的フェーズI臨床試験の結果 - MYDICAR(登録商標)を与えた患者における心臓機能の終点測定に対するニトログリセリンの影響] [0110] ] [0111] ] [0112] ] [0113] ] [0114] ] [0115] ] [0116] 結果 以下の表2は、この試験の暫定的結果を示す。これらの結果は、MYDICAR(登録商標)ニトログリセリンなしで治療した対象と比較した、MYDICAR(登録商標)およびニトログリセリンで治療した対象における1つまたは複数の活動/有効性の主要評価項目の大幅および有意な改善を実証する。他の詳細に関しては、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれているHajjar et al.、Journal of Cardiac Failure、2008 14(5); 355〜67を参照。] 実施例 [0117] ]
权利要求:
請求項1 大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより心臓血管疾患を治療または予防する方法において使用するための治療用ポリヌクレオチドであって、前記方法が、前記治療用ポリヌクレオチドの投与より前、および/または投与と同時に、前記哺乳動物に血管拡張性物質を投与することにより冠循環の血管を拡張する段階を含む、治療用ポリヌクレオチド。 請求項2 前記方法がin vivoで冠循環の血管に治療用ポリヌクレオチドを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが前記血管に少なくとも約3分間にわたって注入され、冠循環が哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されておらず、前記治療用ポリヌクレオチドを前記哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、前記心臓血管疾患が治療または予防される、請求項1に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項3 前記血管拡張性物質が一酸化窒素(NO)増大物質である、請求項2に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項4 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する、請求項3に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項5 前記NO増大物質を冠循環の血管に投与する、請求項4に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項6 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与し、前記NO増大物質を少なくとも約10分間にわたる前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管に注入する、請求項5に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項7 NO増大物質が約50μg〜約150μgのニトログリセリンである、請求項5に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項8 前記NO増大物質の前記投与が1分未満の間にわたる経皮カテーテルを介した左または右冠動脈の少なくとも1つへの1.5mLの100μg/mLニトログリセリン溶液の順行性心外膜冠動脈注射を含み、前記NO増大物質の前記投与が前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前3分未満であり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない、請求項3に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項9 前記方法が、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管にニトログリセリンを注入する段階をさらに含む、請求項8に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項10 前記哺乳動物がヒトであり、前記心臓血管疾患が心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドがAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数が約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドがSERCA2aコード配列を含み、前記血管が左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が少なくとも約10分間続く、請求項8に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項11 前記治療方法または予防方法が、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する、請求項10に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項12 前記NO増大物質を静脈内注射、静脈内注入、経口投与、経皮投与、および皮下投与からなる群から選択される形式で全身に投与する、請求項3に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項13 前記NO増大物質の前記投与が前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前の少なくとも30分間にわたる静脈内注入によって約0.5mg〜約2.5mgのニトログリセリンを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が前記ニトログリセリンの静脈内注入の終了の3分以内に始まり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない、請求項12に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項14 前記方法が、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に追加量のニトログリセリンを注入する段階をさらに含む、請求項13に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項15 前記哺乳動物がヒトであり、前記心臓血管疾患が心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドがAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数が約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドがSERCA2aコード配列を含み、前記血管が左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が少なくとも約10分間続く、請求項13に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項16 前記治療方法または予防方法が、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する、請求項15に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項17 前記NO増大物質がニトログリセリンである、請求項1から6および12のいずれか一項に記載の治療用ポリヌクレオチド。 請求項18 大型哺乳動物における心臓血管疾患の治療または予防用の医薬品を製造するための治療用ポリヌクレオチドの使用であって、治療用ポリヌクレオチドを前記大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、前記心臓血管疾患が治療または予防され、前記医薬品が前記医薬品の投与より前、および/または投与と同時の、前記哺乳動物の冠循環の血管を拡張する血管拡張性物質との併用投与用である使用。 請求項19 前記医薬品の投与がin vivoで冠循環の血管に治療用ポリヌクレオチドを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドが前記血管に少なくとも約3分間にわたって注入され、冠循環が哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されていない、請求項18に記載の使用。 請求項20 前記血管拡張性物質が一酸化窒素(NO)増大物質である、請求項19に記載の使用。 請求項21 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する、請求項20に記載の使用。 請求項22 前記NO増大物質を冠循環の血管に投与する、請求項21に記載の使用。 請求項23 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与し、前記NO増大物質を少なくとも約10分間にわたる前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管に注入する、請求項22に記載の使用。 請求項24 前記NO増大物質が約50μg〜約150μgのニトログリセリンである、請求項22に記載の使用。 請求項25 前記NO増大物質の前記投与が1分未満の間にわたる経皮カテーテルを介した左または右冠動脈の少なくとも1つへの1.5mLの100μg/mLニトログリセリン溶液の順行性心外膜冠動脈注射を含み、前記NO増大物質の前記投与が前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前3分未満であり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない、請求項20に記載の使用。 請求項26 前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管にニトログリセリンを注入する段階をさらに含む、請求項25に記載の使用。 請求項27 前記哺乳動物がヒトであり、前記心臓血管疾患が心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドがAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数が約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドがSERCA2aコード配列を含み、前記血管が左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が少なくとも約10分間続く、請求項25に記載の使用。 請求項28 前記治療方法または予防方法が、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する、請求項27に記載の使用。 請求項29 前記NO増大物質を静脈内注射、静脈内注入、経口投与、経皮投与、および皮下投与からなる群から選択される形式で全身に投与する、請求項20に記載の使用。 請求項30 前記NO増大物質の前記投与が前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前の少なくとも30分間にわたる静脈内注入によって約0.5mg〜約2.5mgのニトログリセリンを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が前記ニトログリセリンの静脈内注入の終了の3分以内に始まり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない、請求項29に記載の使用。 請求項31 前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に追加量のニトログリセリンを注入する段階をさらに含む、請求項30に記載の使用。 請求項32 前記哺乳動物がヒトであり、前記心臓血管疾患が心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドがAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数が約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドがSERCA2aコード配列を含み、前記血管が左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が少なくとも約10分間続く、請求項30に記載の使用。 請求項33 前記治療方法または予防方法が、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する、請求項32に記載の使用。 請求項34 前記NO増大物質がニトログリセリンである、請求項18から23および29のいずれか一項に記載の使用。 請求項35 大型哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより心臓血管疾患を治療または予防する方法であって、心臓血管疾患の治療または予防の必要がある哺乳動物を同定する段階、冠循環の血管を拡張するのに十分な血管拡張性物質を前記哺乳動物に投与する段階、およびin vivoで冠循環の血管に治療用ポリヌクレオチドを投与する段階を含み、前記治療用ポリヌクレオチドを前記血管に少なくとも約3分間にわたって注入し、冠循環が哺乳動物の体循環から分離または実質的に分離されておらず、前記治療用ポリヌクレオチドを前記哺乳動物の心臓細胞にトランスフェクトすることにより、前記心臓血管疾患が治療または予防される方法。 請求項36 前記血管拡張性物質が一酸化窒素(NO)増大物質である、請求項35に記載の方法。 請求項37 前記NO増大物質がニトログリセリンである、請求項36に記載の方法。 請求項38 前記NO増大物質を冠循環の血管に投与する、請求項36に記載の方法。 請求項39 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する、請求項38に記載の方法。 請求項40 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与する、請求項38に記載の方法。 請求項41 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前5分以内にボーラス注射として投与し、前記NO増大物質を、少なくとも約10分間にわたる前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管に注入する、請求項38に記載の方法。 請求項42 前記NO増大物質が約50μg〜約150μgのニトログリセリンである、請求項38に記載の方法。 請求項43 前記NO増大物質の前記投与が1分未満の間にわたる経皮カテーテルを介した左または右冠動脈の少なくとも1つへの1.5mLの100μg/mLニトログリセリン溶液の順行性心外膜冠動脈注射を含み、前記NO増大物質の前記投与が前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前3分未満であり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない、請求項38に記載の方法。 請求項44 前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に前記血管にニトログリセリンを注入する段階をさらに含む、請求項43に記載の方法。 請求項45 前記哺乳動物がヒトであり、前記心臓血管疾患が心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドがAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数が約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドがSERCA2aコード配列を含み、前記血管が左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が少なくとも約10分間続く、請求項43に記載の方法。 請求項46 前記治療が、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する、請求項45に記載の方法。 請求項47 前記NO増大物質を全身に投与する、請求項36に記載の方法。 請求項48 前記NO増大物質を静脈内注射、静脈内注入、経口投与、経皮投与、および皮下投与からなる群から選択される形式で全身に投与する、請求項47に記載の方法。 請求項49 前記NO増大物質を前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時、ならびに前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前および同時からなる群から選択される形式で投与する、請求項48に記載の方法。 請求項50 前記NO増大物質がニトログリセリンである、請求項47に記載の方法。 請求項51 前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入の前の少なくとも30分間にわたる静脈内注入によって約0.5mg〜約2.5mgのニトログリセリンを投与し、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が前記ニトログリセリンの静脈内注入の終了の3分以内に始まり、他の血管拡張剤または血管浸透促進剤を前記哺乳動物に投与しない、請求項50に記載の方法。 請求項52 前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入と同時に追加量のニトログリセリンを注入する段階をさらに含む、請求項51に記載の方法。 請求項53 前記哺乳動物がヒトであり、前記心臓血管疾患が心不全であり、前記治療用ポリヌクレオチドがAAV2/1ウイルスベクターのDNase耐性粒子(DRP)にパッケージされ、前記血管に注入するDRPの合計数が約1×1013を超えず、治療用ポリヌクレオチドがSERCA2aコード配列を含み、前記血管が左または右冠動脈の少なくとも1つであり、前記治療用ポリヌクレオチドの前記注入が少なくとも約10分間続く、請求項51に記載の方法。 請求項54 前記治療が、前記治療前の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値と比較して、前記治療後6カ月の前記ヒトの心臓の絶対駆出率の測定値を改善する、請求項53に記載の方法。
类似技术:
公开号 | 公开日 | 专利标题 US20200024617A1|2020-01-23|Recombinant aav variants and uses thereof US20180311319A1|2018-11-01|Treatment of ocular neovascularization using anti-vegf proteins Stewart et al.2009|VEGF gene therapy fails to improve perfusion of ischemic myocardium in patients with advanced coronary disease: results of the NORTHERN trial Rengo et al.2009|CLINICAL PERSPECTIVE Rosengart et al.1999|Six-month assessment of a phase I trial of angiogenic gene therapy for the treatment of coronary artery disease using direct intramyocardial administration of an adenovirus vector expressing the VEGF121 cDNA US20190085301A1|2019-03-21|Recombinant aavs having useful transcytosis properties Zincarelli et al.2010|Comparative cardiac gene delivery of adeno‐associated virus serotypes 1–9 reveals that AAV6 mediates the most efficient transduction in mouse heart Kawase et al.2008|Reversal of cardiac dysfunction after long-term expression of SERCA2a by gene transfer in a pre-clinical model of heart failure US7588757B2|2009-09-15|Methods of treating Parkinson's disease using recombinant adeno-associated virus virions Chinookoswong et al.1999|Leptin restores euglycemia and normalizes glucose turnover in insulin-deficient diabetes in the rat. Pleger et al.2011|Cardiac AAV9-S100A1 gene therapy rescues post-ischemic heart failure in a preclinical large animal model US6174871B1|2001-01-16|Gene therapies for enhancing cardiac function US20140356957A1|2014-12-04|Biological Pacemaker Fujioka et al.2006|Role of adiponectin receptors in endothelin-induced cellular hypertrophy in cultured cardiomyocytes and their expression in infarcted heart Dobrucki et al.2010|Analysis of angiogenesis induced by local IGF-1 expression after myocardial infarction using microSPECT-CT imaging US8404658B2|2013-03-26|RNA interference for the treatment of heart failure Fish et al.2013|AAV9. I-1c delivered via direct coronary infusion in a porcine model of heart failure improves contractility and mitigates adverse remodeling Wolfram et al.2013|Gene therapy to treat cardiovascular disease Takeishi et al.1999|Effect of angiotensin-converting enzyme inhibition on protein kinase C and SR proteins in heart failure Kawase et al.2011|Rescuing the failing heart by targeted gene transfer US7488713B2|2009-02-10|Cancer treatment using C-type natriuretic peptides Hill et al.1994|Brain natriuretic peptide: possible role in the modulation of hypoxic pulmonary hypertension CN1993137B|2015-04-22|用于治疗心血管疾病的组合物和方法 US5798102A|1998-08-25|Treatment of cardiomyopathy US20150183842A1|2015-07-02|Cardiac arrhythmia treatment methods
同族专利:
公开号 | 公开日 US8221738B2|2012-07-17| US20140107191A1|2014-04-17| WO2009105135A1|2009-08-27| AU2008350903B2|2015-04-02| US8636998B2|2014-01-28| US20160263248A1|2016-09-15| KR20100129295A|2010-12-08| US20170312373A1|2017-11-02| EP2244740A1|2010-11-03| CA2715765A1|2009-08-27| CN101977632A|2011-02-16| AU2008350903A1|2009-08-27| US20130109736A1|2013-05-02| US20090209631A1|2009-08-20| IL207632D0|2010-12-30|
引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
优先权:
[返回顶部]
申请号 | 申请日 | 专利标题 相关专利
Sulfonates, polymers, resist compositions and patterning process
Washing machine
Washing machine
Device for fixture finishing and tension adjusting of membrane
Structure for Equipping Band in a Plane Cathode Ray Tube
Process for preparation of 7 alpha-carboxyl 9, 11-epoxy steroids and intermediates useful therein an
国家/地区
|